ぜんそく(気管支喘息)
ぜんそく(気管支喘息)

「夜中や明け方になると咳が止まらない」「少し動いただけで息が苦しくなる」「ゼーゼー・ヒューヒューという音が胸から聞こえる」――そのような症状に心あたりはありませんか?これらはぜんそく(気管支喘息)の典型的なサインかもしれません。
ぜんそくは、気管支(空気の通り道:気道)に慢性的な炎症が起きることで、気道が狭くなり、呼吸が困難になる病気です。日本国内でも多くの方が悩まれており、子どもだけでなく、大人になってから初めて発症するケースも決して珍しくありません。「以前からある咳だから」「季節の変わり目だから仕方ない」と放置してしまう方もいらっしゃいますが、ぜんそくは適切な治療を続けることで症状をコントロールできる病気です。気になる症状がある場合は、早めに専門医へご相談ください。
以下のような症状に当てはまる方は、ぜんそくの可能性があります。お気軽に当院へご相談ください。
これらの症状は、ぜんそく以外の呼吸器疾患でもみられることがあります。自己判断せず、正確な診断を受けることが大切です。
ぜんそくは、気管支の粘膜に慢性的な炎症が生じ、さまざまな刺激に対して気道が過敏に反応する状態です。炎症によって気道の内側(気道粘膜)がむくみ(浮腫)、粘液(たん)が増え、気管支を取り巻く筋肉(平滑筋)が収縮することで、空気の通り道が狭くなります(気道の閉塞性換気障害)。これが「発作」と呼ばれる呼吸困難の状態です。
発作は突然起こることもあり、重篤な場合には命に関わることもあります。しかし、ぜんそくは「気道の慢性炎症」が根本にあるため、発作がない時期も気道では炎症が続いています。症状がないからといって治療をやめてしまうと、気道の炎症が悪化し、気道が徐々に固くなっていく「気道リモデリング」という状態が起こり、将来的にはより重症化するリスクがあります。
気管支喘息の病型は、以前は、アトピー型(アレルゲン特異的IgE抗体依存性I型アレルギー、小児に多い)と非アトピー型(アレルゲン特異的IgE抗体非依存性、成人発症に多い)に分類されていましたが、「喘息予防・管理ガイドライン2024」(JGL2024)において、世界的な分類に基づき、「2型(Type2)喘息」(2型サイトカインが病態の形成に深く関与する好酸球性喘息を含む病型)と「Type2 low喘息」(2型サイトカインの関与が乏しいと考えられる喘息)に分類されました。
ぜんそくの発作を引き起こしたり、症状を悪化させたりする要因(誘発因子)はさまざまです。主なものを以下にご紹介します。
これらの誘発因子をできるだけ避けることが、ぜんそくの管理において重要なポイントのひとつです。
問診と身体診察
ぜんそくの診断には、まず詳しい問診が重要です。症状の出方(いつ・どんな状況で起こるか)、既往歴、アレルギーの有無、家族歴などを丁寧にお聞きします。聴診器で呼吸音を確認し、特有の「喘鳴(ぜんめい)」と呼ばれるヒューヒューという音がないかも確かめます。
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
肺活量や努力性肺活量(FVC)(息を限界まで吸い込み一気に力強く吐き出した空気の量)に対する最初の1秒間に吐き出した空気の量の割合(1秒率:FEV1.0%)、気流の速さを測定します。ぜんそくでは気道が狭くなっているため、空気を吐き出す速度(努力呼気流量)が低下し、FEV1.0%も低下します(基準値:70%以上)。
気管支拡張薬(気道を広げるお薬)を吸入した前後で各測定値を比較することで、気道の可逆性(元に戻る/改善するかどうか)を確認します。これにより、ぜんそくの診断精度が高まります。
ピークフロー測定
ピークフロー(最大呼気流量)とは、思い切り息を吐いたときの最大の速さを測る検査です。自宅で毎日測定することで、ぜんそくの状態を自分でモニタリングできます。数値の変動が大きい場合はぜんそくが疑われ、治療効果の判定にも活用されます。
血液検査・アレルギー検査
血液中の好酸球(アレルギーに関わる白血球の一種)の数や、アレルギー反応の指標となるIgE(免疫グロブリンE)の値を測定します。また、特定のアレルゲン(原因物質)に対するアレルギー反応を調べることで、ぜんそくの誘因を特定し、生活環境の改善に役立てます。
ぜんそくの治療の中心となるのが「長期管理薬」です。発作が起きていない時期にも毎日継続して使用することで、気道の慢性炎症を抑え、発作を未然に防ぐことを目的としています。
最もよく使われるのが「吸入ステロイド薬」です。ステロイドと聞くと副作用を心配される方も多いですが、吸入薬は気道に直接作用するため、全身への影響が内服薬と比べて非常に少なく、ぜんそく治療において安全性と有効性が高く評価されています。
必要に応じて、長時間作用型気管支β2刺激薬(LABA)の気管支拡張吸入薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬(気道の炎症や収縮を抑える薬)などを組み合わせて使用します。
発作が起きたときに素早く気道を広げるために使うのが「短時間作用型β2刺激薬(SABA)(気管支拡張吸入薬)」です。症状が出たときにすぐ吸入することで、狭くなった気管支を速やかに拡張させ、呼吸を楽にします。あくまでも発作を一時的に和らげるための薬であり、根本的な炎症を抑えるものではありません。発作薬の使用頻度が増えてきた場合は、長期管理薬の見直しが必要なサインです。
吸入ステロイド薬と長時間作用型気管支拡張薬を組み合わせても症状のコントロールが難しい場合は、生物学的製剤(体内のアレルギー反応に関わる特定の物質を標的にした薬)の使用を検討する場合があります。専門的な判断が必要なため、症状の程度や経過を見ながら適切な治療方針をご提案します。
ぜんそくは、日常生活の工夫によって発作の頻度を大幅に減らすことができます。以下のポイントを意識して生活してみましょう。
環境整備
ダニやカビはぜんそくの大きな誘発因子です。寝具の定期的な洗濯・乾燥、防ダニカバーの活用、こまめな換気と掃除を心がけましょう。ペットのいる方は、部屋の清潔さと換気に特に注意が必要です。
禁煙・受動喫煙の回避
タバコの煙はぜんそくを著しく悪化させます。ご自身が喫煙されている場合は禁煙が強く勧められます。また、家族や周囲の人のタバコの煙(受動喫煙)にも注意が必要です。禁煙についてもお気軽にご相談ください。
風邪・感染症の予防
ウイルス感染はぜんそく発作の大きな引き金になります。手洗い・うがいの徹底、インフルエンザワクチンの接種など、感染予防に積極的に取り組むことが大切です。
規則正しい生活とストレス管理
睡眠不足や過労、強いストレスはぜんそくを悪化させることがあります。十分な休息をとり、無理のない範囲で運動習慣を続けることも、呼吸機能の維持に役立ちます。
当院は内科・呼吸器内科を専門に診療を行っており、ぜんそく(気管支喘息)をはじめとする呼吸器疾患の診断・治療に対応しています。「最近咳が続いている」「息苦しさが気になる」「以前ぜんそくと言われたが最近症状がぶり返してきた」など、気になることがあればどうぞお気軽にご来院ください。
ぜんそくは長期にわたる治療が必要な病気ですが、適切な治療と生活管理を続けることで、発作を抑えながら日常生活を送ることが十分に可能です。当院では患者様お一人おひとりの症状や生活背景に合わせて、無理なく続けられる治療計画を一緒に考えてまいります。ぜんそくのことでお悩みの患者様は、ぜひ当院へお越しください。
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